Akiko Fukushige

今朝、馬が暴れて丸太を蹴破った。
隣では愛らしい仔馬が草を食んでいる。

夕方、長い長い自分と地球の影を見ながら、羊たちを家へ連れて帰る。

子牛に呼ばれて、母牛が全速力で走っていく。

夜、家の周りに集められた馬、牛、山羊、羊の鳴き声とともに眠る。

大地の栄養を吸った草がへばりつくように生え、それを動物たちが食み乳を出す。

お茶を飲むため、火をつける。燃料は牛糞。毎日、集め、乾かし、選別して家へ運びくべるを繰り返す。

どこまでも広がる草原と星空。冷えた砂漠の夜は凛としている。

月のない夜はオオカミに気をつけるよう注意される。
ゲルに来たこどもと鬼ごっこならぬ、オオカミごっこをして遊ぶ。

同じ作業を何度も行ううちにそれは、酒やチーズやバターへ変化する。それは絵を描くときと、どこか似ている。

ゲルには夫婦とおばあちゃんがひとり。
外は草原と家畜しか見えないけれど、家の中は濃密。

日本語はもちろん、Yes, Noも通じないのに、樽に馬の乳を入れようと力を入れた瞬間に「つっぱり!」と言われる。テレビで相撲を見て覚えたようだ。じゃぶんじゃぶんと何千回もかき混ぜると継ぎ足した乳は馬乳酒となる。

沖縄 -石垣島
遠浅の海では背後から潮が満ち
陸へ戻れなくなることがあるらしい
漁師が言う
ウデフリクモヒトデが手を振るときに帰れ
刃のように光る太刀魚
変幻自在なシカクナマコ
鮮やかに過ぎる時間

Okinawa – Ishigaki island
The tide flows from the back in the wide shallow ocean
Sometimes you can no longer return to the land
Fishermen say:
Go back when the starfish waves at you
hairtail is shining like a blade
Sea slug is phantasmagoric
Time in the ocean passes by
Leaving its vivid colored memories

福岡 -原っぱ
雨上がりのドングリの木の下
ピンクのキノコがニョキニョキ生えてきた

岐阜 -郡上八幡
真夜中にバッサバッサと鷲が飛び
白壁の虫を掴み去った
麓では
徹夜踊りの音が響く

Gifu – Gujohachiman
In the middle of the night
Flies an eagle with a big rustle
She caught one of the insects on the white wall and flew away
At the foot of the mountain
Resounds the melody of all-night dancing

大阪 -きのこ
植物じゃないから菌糸なのだけど
キノコには長い根っこがある

フィンマルクー(ノルウェー)
マイナス四十度になる世界
雪の結晶が溶けずに光っている
夜は無数の星とオーロラ
闇から聞こえる唸り声はオオカミか

ケレタロ(メキシコ)
食器の影から出てきたサソリに怯える
本当に怖いものは何か

ポルト(ポルトガル)
人々は陶器でつばめを作り
部屋の中へ飾る
幸運がやってくるように 

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